『シドレクスサガ』、第7部の要約

このページでは、『シドレクスサガ』第395-441章の徹底的な要約(サマリー)をおこないます。

  1. ディートリヒの帰還
  2. ディートリヒの最後の竜
  3. アルドリアンの報復
  4. ハイメの死
  5. ディートリヒの死

この要約のみにおいて、このサガを学術的に分析しようとする試みについては、いっさいの 責任を負いかねます。

参照の便宜上、このサガをいくつかの部に分割してあります。これは、一部をのぞき、ほぼ Von der Hagenの分割方式にしたがいました。 さらには《Membrame 写本》の章番号が附記されてあります。

このサガの一貫性(矛盾性)の議論については、 Boer (第2のhref) をご覧ください。


27:ディートリヒの帰還(Th. 395-415)

エルメンリクとジビッヒ の履歴
エルズンクのおじの履歴

ーベルング族の死後一年たって、ディートリヒはベルンの再征服を決意する。 そしてヒルデブラントただひとりを供に、出発する。

バビロニア伯エルズンクは、この動静に気づく。エルズンクのおじ<-!(祖父)->は、 ディートリヒの祖父ザムゾン殺されており、どうにか仇討ちを果たしたい。 そこで配下の者をさしむけて、ディートリヒらを追跡させる。 しかしヒルデブラントは、後を追われていることに気づき、ののしり合い の後、刃傷沙汰となり、ディートリヒとヒルデブラントは敵を 皆殺しにする。

ヒルデブラントはアメルンクに出会い、果し合いをする。 アメルンクは降参し、エルメンリクはすでに歿しており、 ヒルデブラントの息子アレブラントがベルンの伯爵だという。 次に、ヒルデブラントは、ルートヴィヒの息子コンラットとの談話 で、宰相ジビッヒがエルメンリクの王座を継承したと聞かされる。 ジビッヒには、じっさい誰も満足しておらず、さればディートリヒどのを、 王にお迎いなされてはどうか、という話になると、皆、我も我もと大いに賛成する。

ディートリヒとヒルデブラントは、ベルンに突き進み、城壁の門外でヒルデブラントは、 [息子]アレブラントに出会う。 ヒルデブラントは、誰だ、名を名乗れと言い、アレブラントも同じく相手を誰何する。 しかし双方とも名は明かさない、と譲らず、戦いとなる。 ヒルデブラントは息子を打ち負かし、相手を降参される。 しかしヒルデブラントが警戒をゆるめたすきに、アレブラントは背後をつこうとする。 ヒルデブラントは、父らしきアドバイスを与えるとともに、父らしき大目玉を食らわせる。

一向はベルン入りをする。血気早い衛兵が、ヒルデブラントを殺そうとするが、 アレブラントによって即座に処刑される。 アレブラントは、兵にむかって、おまえたちは、王としてジビッヒどのをとるか、 ディートリヒどのをとるか、どちらか、と尋ねる。返ってきた答えは:ディートリヒどの!

くして、ディートリヒはベルンの王に返り咲く。 ジビッヒは直ちに軍隊を集める。決戦は不可避。 ジビッヒは、一隊をディートリヒ軍の背後に送るものの、さんざん打ち負かされてしまう。 アレブラントはジビッヒを討ち取り、ディートリヒはローマの王〔皇帝〕となる。

ディートリヒは、ローマに自画像の彫像を立てる。そしてヒルデブラントとともに、 キリスト教に改宗する。ヒルデブラントはやがて老衰で死ぬ。

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28:ディートリヒの最後の竜(Th. 416-422)

この箇所は一般に加筆であると考えられています。

ルトニット王は、ディートリヒと同様、その狩猟への執心ぶりはかなりのものだった。 それがある日、偶然に竜と遭遇し、ヘルトニットは死ぬ。 その亡き後まもなく、盗賊団が、王妃イゾルデの住むその城をねらって攻落しようとする。

ディートリヒは、あるつてによりそのことを知る。盗賊団の成敗にむかうが、その途中で、 竜とライオンの死闘に出くわす。 ディートリヒは、ライオンを助けようと、竜を襲うが、剣はこぼれしてしまう(家に置いてきた最強の 一振りエッキザクスではなく、別の剣)。そこで低木を手にとって、武器がわりにするが、 あまりに動きが鈍すぎ、ディートリヒもライオンも竜にとらえられ、ねぐらに運ばれる。 竜は、ひとまずライオンを稚竜に餌として与え、ディートリヒはのちの餌にとっておかれた。 そのあいだにディートリヒは剣を見つけだし、竜を倒して巣の稚竜も殲滅させる。 さらにはここで甲冑も発見。森のなかでは馬をみつけ、逃げたところを疾走し何とか追いついて 捕獲。そうして、ヘルトニットの城への旅を再開する。

ディートリヒが見つけた武器・甲冑は、いうまでもなくヘルトニット王の所持品だった品である。 これを身にまとったディートリヒをみて、イゾルデ王妃は、ヘルトニット王だと勘違いする。 これに勇気を得て王妃は騎士に出撃を命じる。 ディートリヒの強力な援護もあり、盗賊団は、散り散りに退散する。 「ことの始末、かくのごとき。これ、首領を欠く者らの常なり:すなわち、 いかに者どもが勇壮なれども、負け戦におわる」

ディートリヒは事の次第をつつみかくさず説明し、このイゾルデと結婚する。

ディートリヒ を追う
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29:アルドリアンの報復 (Th. 423-428)

アッティラとアルドリアン の履歴
ブルンヒルト の履歴

ーゲンの遺児アルドリアンは、母の血縁であるアッティラの宮廷で 育ち、アッティラの寵愛をうける。

ある日、12歳になるアルドリアンがじっと火を見つめ、赤熱する石炭のかけらが くすぶって靴に穴をあけてもかえりみぬほど、見入っているのをアッティラが、 見とがめて、何をしておるのだ、と聞く。 アルドリアンは、このようにしてワインや白パンで卓をいっぱいにしたアッティラ王は、 さぞかし、ご幸福なことだろう、しかし、そのうち、粗いパンや水さえ、ありがたく頂戴 するような日々がやってくるだろう、と言う。 アッティラは遠征にあけくれる日々は、もう過去のことだわい、とこれを笑いとばす。

それ以降、アルドリアンは言葉巧みにほのめかしたあげく、ついにニーベルンゲンの財宝の ありかに導いた者には王国の半分を与えると約束させる。 アッティラが約束するやいなや、アルドリアンは自分が宝のありかを知っており、 その扉の鍵を持っていると言う。

数日後、二者は出立する。アルドリアンは三枚の扉で閉ざされた大洞穴ヘアッティラを案内する。 アルドリアンは鍵をとりだし、扉を開ける。後についてきたアッティラは、つい欲に目がくらみ、 財宝に走って飛びつく。 するとアルドリアンは扉をもとどおり閉めて、アッティラを閉じ込めてしまう。

<日もすると、アルドリアンはアッティラの幽閉の場所に戻ってくる。 そして、大声をあげ、どうだ、これで粗いパンや水さえ、ありがたく頂戴する気になったろう、 と言いはなつ。アッティラは、あやふやに返答するが、そのうち死んでしまう。

アルドリアンは、ブルンヒルト王妃のもとに行き、その夫[グンター]の敵討ちを、 いかようにして果たしたか、奏上する。その礼に、ブルンヒルトは何人かの 兵士を進呈する。アルドリアンは、ニーベルンゲンラントを征服し、その伯爵となる。

爾来、アルドリアン以外は誰も、財宝のありかを知らないという。アルドリアンは、 何人にもその隠し場所を教えなかったのである。 アッティラの死後、ディートリヒがフネンラント(フン王国)の王となる。

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30:ハイメの死(Th. 429-437)

ディートリヒ の履歴
ハイメの履歴
ノルディアンの息子アスピリアンの履歴

ィートリヒがジビッヒを破ったと今となっては、 ハイメが盗賊に留まる理由はなにもない。 しかし良心の呵責にさいなみ、僧院に入ることを決意。 世俗を捨てて、しばしの間、その僧院に逗留することになる。

ある日、巨人アスピリアンが、僧院の所有する領地のいくつかを無理やり譲れと要求する。 僧院長が苦情を言うと、巨人は試合において決着をつけることに同意する。 しかし、はたして僧院を代表して戦う者など、おるのだろうか。

ハイメは、試合に立候補することにし、自分の剣ナーゲルリンクと愛馬リスパを持ってくるように、 と言う。それらを見つけるのに少々手間どるが、自分の武具を無事うけとったハイメは、試合で 巨人を討ち取る。

この試合を噂に聞いた、ディートリヒは、はて、これはハイメではないか、と考える。 そこで僧院を訪れて、見覚えのあるかつての部下を見とがめる。 当初、ハイメは、俗界にもどる誘いに抵抗する。しかし、ディートリヒが、ともに過ごした 若きころの日々について語りだすと、ついにハイメは折れる。 かくして、ふたたびハイメはディートリヒの傘下にくわわる。

ハイメはまず手始めに、この僧院から相応の年貢をとりたてるべしと進言する。 ディートリヒは同意し、ハイメをその使節に派遣する。 ハイメは僧院長に、ディートリヒの意向を伝え、抗議する僧院長を、首を斬ってだまらせる。 さらには、僧の大半を虐殺し、見つけだせるかぎりの金を奪いつくして、ベルンへ帰参する。

次ひハイメは、ある巨人に目をつける。その巣窟に行くが、相手を見くびりすぎて、 返り討ちになってしまう。弔い戦でディートリヒは、巨人を討ちとる。

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31:ディートリヒの死 (Th. 438-441)

ヴィティッヒの履歴

る日、ディートリヒは、家で風呂小屋で風呂に浸かっている。 見ると一匹の鹿がいるではないか。むしょうに、それを追いたくなり、 は馬に乗って出かけるが、たんだん、遠のりの場所までおびきよせられてしまう。 ひとりの使用人が、呼びとめようとする:「どこで、行かれますか、旦那様?」 すると、ディートリヒは、こう答えたという:「どうやら悪魔がわしを地獄に連れて行くようじゃ。 だが、キリストと聖母マリアに誓っていう、かならずしや余は戻ってまいるぞ」と。

ランシュポルトの戦いのあと、ヴィティッヒは小さな島に隠棲していたのだ。 ヴィティッヒは、ディートリヒそっくりの彫像を作り、渡し守に与えていう、この人物を決して島に渡しては ならない、と。

その余生もいくばくもなくなって、ディートリヒは、弟やアッティラの息子の復讐のため、 ヴィティッヒを討つことにする。 ディートリヒは、人目を忍んでベルンを去り、その島へと旅する。 渡し守には、そこまで連れて行くことを拒否され、いったん立ち去ることにする。 そして町へ行き、なんと医者に片目を摘出させて、戻ってくる。 こんどは渡し守りは、その正体を見極められず、ヴィティッヒのいる孤島へ連れていく。

ディートリヒはヴィティッヒの家に忍び込み、ミームンクを奪う。 そしてヴィティッヒの目を覚まさせ、決闘が開始する。 ディートリヒは、ヴィティッヒを討取るが、自分も瀕死の重傷を負う。

ディートリヒは、帰途の道のりにつく。ミームンクを小川か湖に放り込み、 ホッフェルトの町につくと力尽きて倒れる。そして、しばらくして永眠するのである。 二人の供の者は、ディートリヒの最後を誰にも語らぬと堅く約定したといわれる、 よって、その最後は、第I説のほうが、ひろく一般にとられている。

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エピローグ

帝ハインリッヒ・レオポルト(またはフィリップとも)の息子によれば、 真相はこうだと言う:ディートリヒは、その馬の一頭を、誰にも見つからない場所に隠させたのだ。 そして、この馬に乗ってヴィティッヒ討伐に出かけたのである。 さらに、悪魔がつれさられたなどとデマをふれこんで、人々に信じこませ、 ヴィティッヒには、彼がそちらへやってくるなどと気取られないようにしむけたのだ。


『シドレクスサガ』 終


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