『シドレクスサガ』、第6部の要約

このページでは、『シドレクスサガ』第342-394章の徹底的な要約(サマリー)をおこないます。

  1. ジークフリートの死
  2. ヘルトニットとイズンク
  3. グリムヒルトの報復
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  • この要約のみにおいて、このサガを学術的に分析しようとする試みについては、いっさいの 責任を負いかねます。

    参照の便宜上、このサガをいくつかの部に分割してあります。これは、一部をのぞき、ほぼ Von der Hagen の分割方式にしたがいました。 さらには《Membrame 写本》の章番号が附記されてあります。

    このサガの一貫性(矛盾性)の議論については、 Boer (第2のhref) をご覧ください。


    24:ジークフリートの死(Th. 342-348)

    ジークフリートとニーベルング族 の履歴

    て、ニーベルンゲンラントでは、あいかわらず、 ジークフリートは、ハーゲンやグンターの妹グリムヒルトと夫婦であり、 グンターはブルンヒルトと夫婦である。 グンターにはもう2人の弟ゲルノットとギゼルヘルがいる。

    ある日、ブルンヒルトが後宮へ入ると、グリムヒルトがなんと自分の(ブルンヒルトの!)玉座に 座っているのを発見する。激怒したブルンヒルトは、自分に正当の権利がある、 その玉座をすみやかに立ち退くことを強要する。 しかしグリムヒルトは、以前は、わが母がこの王座を占めたのじゃ、と反論する。

    これが、声を荒げた口論となり、本気になっておたがいをけなし合いはじめる。 グリムヒルトは、ブルンヒルトが最初に通じた男性が果たして誰であったのかを尋る。 ブルンヒルトはグンターだと返答。するとグリムヒルトは、ジークフリートがあの初夜のとき ブルンヒルトから受け取った腕輪(たまき)を、勝ち誇るようにみせびらかし、( 「17:結婚」参照!) ジークフリートがその初夜のことはすべて打ち明けて、しかもその腕輪をくれたという。 ブルンヒルトは泣きながら、そこを走り去る。

    ブルンヒルトは、外でハーゲン、グンター、ゲルノットらに会う。 そして、ついぞあった出来事を伝える。 三人(主にハーゲン)は、ジークフリートに死をくれてやらねば、と決意する。 ハーゲンは、ブルンヒルトに、心配せずとも、彼女の名誉の傷はかならず晴らすと約する。

    翌日、ハーゲンは、ジークフリートを狩猟にさそう。 ジークフリートが承諾すると、ハーゲンは、朝食には、とりわけ塩からい肉をジークフリート にお出ししろ、ワインも物足りないくらいにひかえておけと、きつく料理人に指示する。 そして、いちばん鹹味のきいた肉が、ジークフリートに出される。

    日、朝食がハーゲンの指示通りだされた後、狩猟の一行は出立する。 しばらく、猪を狩ると、一同(特にジークフリート)は喉が渇く。 ハーゲンは、近くに小川は流れている、と一同を案内する。 まずハーゲンとグンターが水を飲み、ジークフリートがつづく。 ジークフリートが腹ばいに横たわっているところをみはからって、ハーゲンは背中に槍を突き立てる。 ジークフリートは、「正々堂々と戦っておれば、4人ともども、こちらが殺しておるのに」と言い残して死ぬ。

    屋敷では、グリムヒルトが小部屋でベッドに横たわっている。すると、蹴られた戸が開き、 ハーゲンが、ジークフリートの遺体を、そのベッドの上に放り投げる。 グリムヒルトは号泣し、ハーゲンが殺めたのだと言って、彼を責める。 ジークフリートは狩りをしていて猪に殺されたのだと、ハーゲンは言う。 グリムヒルトは、そちこそ、その猪であろう、ちゃんとわかっているのだ、 と言う。ハーゲンは否定すらしない。

    ニーベルング族 を追う
    ブルンヒルト を追う
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  • 25:ヘルトニットとイズンク (Th. 348-355)

    王イズンク の履歴
    デトレフとファゾルト の履歴

    ルトニット王は、魔女のオスタシアを王妃としていた。 ヘルトニットは、ベルタンガラント王イズンクに戦争をしかける。 イズンク王は、デトレフとファゾルトを召しだして供にくわえる。

    ヘルトニットとイズンクは戦場で刃をまじえる。最初のうちは、イズンクが優勢。 しかし、オスタシア王妃は、魔術をもちいて、熊、龍、獅子を召還。 イズンクは、龍によってたちどころに捕らえられてしまう。

    ヘルトニットは、ファゾルトを討ちとる。そしてデトレフとも戦い、傷を負わす。 そのデトレフも、龍に殺される。かくしてヘルトニットは会戦に勝利する。

    怪物の召還に力を出しつくしたオスタシアも命尽きてしまう。

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    26:グリムヒルトの報復 (Th. 356-394)

    アッティラ、
    ロディンガー、
    ディートリヒ、
    ヒルデブラント
    の履歴
    ニーベルング族 の履歴

    ッティラ王は再婚を望んでいる。王は、グリムヒルトに求婚する使者として、 甥のオジットを遣わす。 グリムヒルト、ハーゲン、グンターは、この結婚を承諾。 アッティラはニーベルンゲンラントに旅して、グリムヒルトと結婚する。

    7年経って、グリムヒルトは、そろそろ[前の夫ジークフリートの]仇討ちの機が熟した頃と判断する。 ある夜、グリムヒルトは、かの伝説のニーベルンゲンの財宝は、じつは彼女が正当なる所有者で あり、つまりは夫のアッティラのものでもあるわけだ、と説明する。 財宝に対する欲望のとどまるところをしらないアッティラは、興味ぶかくこれに聞き入る。 グリムヒルトは、アッティラの合意のもとで、兄弟たちを饗宴に招待する。

    招待状を手にして、ハーゲンは、これが夫ジークフリートの死を復讐しようとする グリムヒルトの罠にちがいないと、察する。 しかしグンターは、フン族の国家の摂政の地位という誘惑にかられてしまう。 もしアッティラがお亡なりあそばせば、グリムヒルト妃とのあいだにおもうけ になりました若君が、後継者となりましょう。そのお子はまだ幼齢ゆえ、 摂政が必要になりましょう、さすれば、その若様をお愛でになる、伯父ぎみこそ、 代わりに国を治むるにふさわしき方ではありますまいか、などと伝令の使者が、 ぬかりなく説明したのである。これが効を奏して、グンターは、出席を決意する。

    王太后ウート(グンター、ギゼルヘルの母)は、息子らがゾーストで死ぬことを、 明確に示唆する、恐ろしい悪夢にうなされる。 王太后は、せめて12歳のギゼルヘルだけは、旅にやらせずに、城に残そうとする。 だが、ギゼルヘル本人は、自分はもう、初冒険に挑戦するにたりる備えができている、 と自負しているので、みずからすすんで年上の兄弟に従ってゆく。

    ンター王は、檄文を飛ばして、武器を取れる者すべてを召集する。 ハーゲン、グンター、ゲルノット、ギゼルヘル、吟唱詩人フォルカー(ハーゲンの友人)らは、 千人の従者を供に、ゾーストへむけて出発する。 一行は、ライン川とドナウ川の交流点で、ライン川にさしかかる。 しかし川の水嵩は高い。舟も見つからない。 ハーゲンは、舟がないか探しにいくと申し出る。

    ふてくされた気分のハーゲンが、川岸ぞいに歩いてゆくと、沐浴中の2人の女性にめぐりあう。 ハーゲンが、川は渡れるかどうか尋ねると、女性らは、渡ることはわけないが、 ニーベルング族が、二度と生きてはこの川を渡ることはないだろう、と答える。 ハーゲンは、それらの二人の首を刎ねてしまう。

    やがてハーゲンは、向こう岸に渡し舟を見つける。 渡し舟の船頭を呼び寄せて、黄金の腕輪を、渡し賃として出そう、と持ちかける。 船頭は、いそいそとハーゲンのところへ漕いで来る。ハーゲンは、乗船するやいなや、 船頭を無理やり、ニーベルング族の軍隊の居場所まで漕いでゆかせる。

    その間に、グンターは小船を見つけており、勇士らの何人かは、それですでに川を渡っている。 しかしハーゲンの渡し舟は、これよりもはるかに大きく、グンターと部下100人がこちらに乗る。 そして向こう岸に漕ぎつけるものの、急流を測りそこね、 ハーゲンが力任せに漕ぎすぎたため、舵が壊れてしまう。 だからといって、ハーゲンは船頭の首を刎ねてしまう。 グンターはこれをなじるが、ハーゲンは、かれらがやってきているという報が伝わってはまずいから と弁明する。グンターはこれを信じず、ハーゲンは単に好きこのんで残虐な行為にいたっているのではないか、と言う。 ハーゲンも否定はしない。

    渡し舟は転覆し、ニーベルング族は、のこりを泳いで渡る。 一行は、そのまま押すように、旅路を突き進む。 夜になると、またもやハーゲンは、単独行動で動き回り、睡眠中の兵士に出くわす。 ハーゲンはこっそりと、その剣を抜きとっておいてから、兵士を起こす。 この兵士は、グンターの一行をバカラールまで送迎するため、バカラール伯ロディンガー が遣わした者だという。ハーゲンは、次回はもう少しましな夜警のつとめかたをするんだな、 とたしなめて、金の腕輪をひとつ与える。

    ニーベルング族は、バカラールにて厚くもてなされる。 ロディンガー伯は、ギゼルヘルにジークフリートの剣グラムを与え、その令嬢を嫁がせる。 ロディンガーはゾーストの都まで、ニーベルング族と同行することにする。 だがロディンガーの妻は、グリムヒルト王妃には悪意がおありだと、ニーベルング族の一党に忠告する。

    リムヒルトは、ゾーストの都の塔のひとつに上り、 兄弟が到着するのをその眼で確認する。 グリムヒルトは、涙して呪いの言葉をとなえるのである、「いままさに、復讐の刻は、おとずれましたり」と。 グリムヒルトは、急ぎ足でアッティラの会堂へ向かい、そこで兄弟らに会うと、 お召しの甲冑は、お脱ぎになりますように、とうながそうとする。 しかし、ハーゲンは頑として承服をこばむ。 そこでグリムヒルトは、本来ジークフリートのものである財宝を、ここに持ち参じてこられたか どうか、と尋ねる。 しかし、「われらがなにを持ち参じたといえば、それは、お前にとっての脅威である敵を 持って参じたのだ」、というハーゲンの返答に、グリムヒルトは、作戦を改める。

    グリムヒルトは、グンターとギゼルヘルに両わきをはさまれて、しくしくと泣きくずれる。 むろんのことながら、ギゼルヘルは、なにをそう泣いておられるのかと、その理由を尋ねる。 グリムヒルトは、ジークフリートの死を、いまでも悼んでおりますゆえに、という。 だが、ハーゲンは、ジークフリートと同じうように、アッティラを愛するべきではないか、 それにアッティラのほうが、ジークフリートなんぞより、はるかに強大な御仁であるぞ、という。 過去のしがらみなど、忘れるがいい。ジークフリートなど、もう死人だ! グリムヒルトは、此度もまた泣きじゃくりながら、その場所を出てゆく。

    翌日になると、グリムヒルトは、味方を募る。 グリムヒルトはまず、ディートリヒに協力を依頼するが、ニーベルングの一族とは 朋友同士の間柄であるため拒否される。 つぎに、グリムヒルトはアッティラの甥オジットに助勢を請う。 しかし、この彼もアッティラがてニーベルング族を主賓として招聘した以上は、それはできないと断る。 最後に、グリムヒルトはアッティラ自身のもとへゆき、ニーベルング族が財宝を持参しなかった件をむしかえして、 その怒りを煽ろうとする。しかしアッティラは動じず、ジークフリートの敵討ちをすることを、グリムヒルトにかたく禁じる。

    ニーベルング族の一行は、千人におよぶので、アッティラは、盛大なる宴を塀でかこわれた庭園でひらくことにした。 到来するニーベルング族に、グリムヒルトは、みなさま武器を外にお置きになりますよう、と説得するが、 ハーゲンは拒否。 そこでグリムヒルトは自分の従士イルンクに協力を申しつけ、承諾を得る。グリムヒルトはイルンクに厳命を下し、 庭へ急ぐ。

    リムヒルトは、名声高い伯父たちの訪問に嬉々としている幼い王子〔わこ〕アルドリアンに出迎えられる。 グリムヒルトは、そなたはもう一人前の男児であるか、王子に尋ねる。アルドリアンは興奮そうに、そうだ!と返答する。 ならば、それを証明なされよ、そなたの叔父ハーゲンのあごを、思いっきり殴るのじゃ、とグリムヒルトは言う。 アルドリアン王子はうなづいてみせ、いわれたとおりにハーゲンを殴るが、勢いあまって、 その向こう面からは、鼻血がどくどくと流れるしまつだった。 するとハーゲンは幼き王子をひっつかみ、その場で斬首してしまう。 のみならず、王子にこのような無礼を教えたとして、作法の家庭教師の首も刎ねる。

    さて、グリムヒルト[の画策で]、さしものアッティラも、ついに戦わざるを得なくされる。 いかなる理由にせよ息子を殺された仇討ちは、はたさねばなるまい。 アッティラは部下のものどもに、武器をとって集まれいと掛け声をかける。 ニーベルング族も武器を手にし、まだ丸腰のままのフン族たちを追いやって庭園の唯一の出入り口を 突破し、そして、ニーベルング族の追撃にでると思いきや、グリムヒルトが抜け目なく入り口あたりに 敷いておいた雄牛の生皮に足をすべらせて転倒し、庭園内に袋のねずみとなってしまう。 盾や重装武器を守っていたニーベルング族の30人の見習い騎士たちも、イルンクに皆殺しにされる。

    ニーベルング族は、ひとり、またひとりと、庭園のまわりから矢や槍を放つフン族に狙撃されてゆく。 なんとしてもその場所を脱せねばならない。庭園の一角のもろい壁をつき破り、ハーゲンの 指揮のもと突撃し、フン族のふいをつく。ほどなく戦火は、ゾーストの都のあたりじゅうに広がる。 ゲルノットはディートリヒの会堂へ出向き、助太刀を求める。しかし、ディートリヒは悲しそうにこれを 謝絶する:逃亡の目にあったとき、かくまってもらった恩あるアッティラに刃をむけることはできない、と。

    その間に、オジットは反撃隊を率い、グンターと遭遇。グンターは捕らえられ、アッティラにより、 獄門塔の最下階にある毒蛇の穴にほうりこまれたグンターはここで息絶える。

    かし、それでもニーベルング族は、都を支配下におくことに成功する。 さらに城塞を攻撃するが、それは流血を見ただけで退けられる。 ロディンガーは城塞を去り、ディートリヒの会堂に寝泊りする。

    夜も明けようとするころ、ハーゲンはニーベルング族を召集し、頭数を数える。失った兵力300名、 しかしフン族の失った数はそれよりも甚大のはずである。 しかしアッティラのもとへは、地方からの増援軍がぞくぞくとやってくる。アッティラは、都の奪還戦に、兵をさしむける。 合戦においてゲルノットはオジットにぶつかり、これを討ち取る。

    この勝利で、ニーベルング族の士気は保たれるが、ロディンガーはオジットの弔い戦を決意し、 にわかに、ニーベルング族の一隊を攻撃して参戦する。 しかしそこにはギゼルヘルがおり、ロディンガー自身から贈られたジークフリートの剣グラムをふるって ロディンガーを殺す。 するとこんどは、ロディンガーの復讐にディートリヒが参戦する。 ディートリヒは多勢を率いて、ついにニーベルング族をくだす。 首脳者らは会堂に連行され、一般の兵士は惨殺される。

    グリムヒルト王妃は、城塞の塔に姿をあらわし、その会堂の屋根に 燃えさかる薪(たきぎ)を投じるよう命令する。 その間、ディートリヒとヒルデブラントが会堂にやってくる。 ディートリヒは、戸口に立つフォルカーを討ち取る。 ディートリヒがみずからハーゲンを襲う一方、ヒルデブラントはゲルノットを相手取る。 ヒルデブラントは手早くゲルノットをかたづけ、今度はギゼルヘルにたちむかう。

    ハーゲンは、ギゼルヘルの助命をヒルデブラントに乞う:ギゼルヘルはまだ年若く、 ジークフリートの殺害にも加担していない、と。 しかしギゼルヘルは兄弟とともに死ぬことを誇りとし、むしろそれを望んでいる。 ヒルデブラントは攻撃をくわえ、案の定、ギゼルヘルは討たれてしまう。

    ーゲンとディートリヒの死闘ははてしなく続く。 やがて双方はかんしゃくを起し、ディートリヒがハーゲンはエルフの落胤であるとけなす。 ハーゲンは、悪魔の申し子であるそのほうよりかは、エルフの息子のである我輩のほうがまだましだ、と反論。 これはディートリヒを激怒させ、口から火を噴いてハーゲンに火傷を負わせる。 ハーゲンは甲冑を着たまま黒焦げに焼かれ降参する。「もしわしが魚だったならば、いまちょうど食いごろだろう」 などと言いつつ。

    アッティラとグリムヒルトは会堂に歩み入る。グリムヒルトは、間髪も入れず、くすぶる木の枝を手にとり、 ゲルノットの口にねじこむ。 次にギゼルヘルに同じことをするが、この弟はまだ完全に息絶えてはおらず、悶え苦しむ。 傍観していたアッティラ、ディートリヒ、ハーゲンは、ぞっと身震いする。 ディートリヒは、アッティラにこう云う:だから申し上げたろう、グリムヒルトさまは、女などではない、悪魔だと。 アッティラも同感だといい、ディートリヒは即座に王妃の首を刎ねる。

    ハーゲンは城塞に連行され、最後の晩に女をあてがってもらいたいと、ディートリヒに求める。 ディートリヒはそのとおり、一人の夜伽を手配する。この女性は、ハーゲンの胤を宿し、 生まれた子はのちにアルドリアンと名づけられる。ハーゲンの命はここで果てる。

    こで、サガはこの物語の出どころ筋についてを語る。 サガは、ブレーメンと、ゾーストにそれぞれ伝わる個別の伝承を資料としたことをあきらかにしている。

    アッティラおよびアルドリアンハーゲンの息子 を追う
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