『シドレクスサガ』、第5部の要約

このページでは、『シドレクスサガ』第276-341章の徹底的な要約(サマリー)をおこないます。

  1. ディートリヒの逃亡
  2. アッティラの宮廷のディートリヒ
  3. グランシュポルト

この要約のみにおいて、このサガを学術的に分析しようとする試みについては、いっさいの 責任を負いかねます。

参照の便宜上、このサガをいくつかの部に分割してあります。これは、一部をのぞき、ほぼ Von der Hagen の分割方式にしたがいました。 さらには《Membrame 写本》の章番号が附記されてあります。

このサガの一貫性(矛盾性)の議論については、 Boer (第2のhref) をご覧ください。


21:ディートリヒの逃亡(Th. 276-290)

ヒルデブラント、ヴィルデベル、
ハイメ
の履歴
アッティラ の履歴
ロディンガー の履歴
オザントリックス の履歴

ィートリヒのおじにあたるエルメンリク王はローマに君臨。ジビッヒは、その もっとも信頼のおける相談役の重臣だった。 ある日、ジビッヒの出張のおり、エルメンリクはその妻を犯してしまう。妻はこれを ジビッヒに訴え、ジビッヒは、エルメンリクとその一族を血祭りにあげんと報復を誓う。

まずジビッヒは、狡猾な手口をつかってエルメンリクの三人の息子に死をもたらす。 数人の王から朝貢を取り立てる使節に息子らをつかわすよう、エルメンリクに説得したのだ。 むくろみどおり、その息子らは、オザントリックスをふくむ君主らの激怒にふれ、処刑されてしまう。

次に、ジビッヒは、アケの息子らを殺しその領地を奪うことにする。忠実な部下は、この計画を耳に入れ、 アケの息子らを警告しようとするが、無為におわる。 城は包囲戦の後まもなく落城。息子らは捕らえられ絞首刑にされる。 彼らの継父で後見人ヴィティッヒは、このことを知らされ激怒する。その賠償として、エルメンリクは ヴィティッヒにいくつかの新領地を下賜する。

後にジビッヒは、ディートリヒの勇士らから朝貢をとりたてるよう、 エルメンリクに進言する。勇士らは、朝貢を納めることを拒否し、ディートリヒに訴えると、 このことはディートリヒの癇にさわる。そのことが伝わると、今度はそれがエルメンリクの逆鱗にふれる。 そのとき、たまたまエルメンリクの宮廷を訪れていたヴィティッヒとハイメは、怒りにまかせて エルメンリクにたいして罵詈雑言の言葉を吐きすてる。 ヴィティッヒは、ディートリヒを警告するため、ベルンに馬を駆る。

エルメンリクの軍隊がディートリヒの国領に侵入するや、ディートリヒは、抵抗が無駄な努力と 判断し、ベルンを逃亡する。国を追放されたこのディートリヒに追い従ったのは、勇士らのなかでも、 わずかヒルデブラントとヴィルデベルのみだけだった。

その間、ハイメはいまだエルメンリクを非難しつづけ、ジビッヒを打ちすえる。 エルメンリクは、ハイメの捕獲を望むが、ヴィティッヒがその脱走に手を貸してしまう。 ハイメは、エルメンリクの領内を、つけ狙って襲う盗賊におちぶれる。

ディートリヒは、アッティラの臣下のなかでも、とりわけ名声のたかい、バカラール伯ロディンガーによって、 豪勢にもてなされる。そしてディートリヒはゾーストへ駒をすすめて、アッティラにたいし主従のちぎりをかわす。

エルメンリク,
ジビッヒ,
ヴィティッヒ
を追う
ハイメ を追う
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22:アッティラの宮廷のディートリヒ (Th. 291-315)

ッティラは、オザントリックスとの再戦を決意する。 ディートリヒもそれに同行する。 この戦争では、ディートリヒの若い甥ヴォルフハルトによってオザントリックスが討たれる。

念のため、アッティラはオザントリックスの兄弟ヴァルデマールも攻撃する。 ここでは敗戦を喫するが、ディートリヒは、ヴァルデマールの息子ディドリクを捕らえる。

ディートリヒとその部下は、要塞に避難するが、ヴァルデマールに攻略される。 糧秣はわずかしかない。ディートリヒは出撃を決め、包囲陣の夕食のころをみはからって、食物を奪う。 ヴァルデマールは、はじめ慌てふためいて逃れるが、ようやくして包囲陣に戻る。

数日もたつと、食物はまた不足しだす。ディートリヒは、アッティラのもとへ使者を送ることにする。 ヴィルデベルは重傷なため、ヴォルフハルトが使わされる。 ヴォルフハルトはディートリヒの甲冑を借り、ひそかに城を出る。ヴァルデマールの将を何人か 葬ると、包囲陣を脱して、アッティラのもとへ到達する。アッティラは援軍を送り、ディートリヒは救われる。

ァルデマールの息子のディドリックは、俘虜としてゾーストに連行される。 重傷を負った、こちらのディドリックは、アッティラの妻エルカ(オザントリックスの娘)の甥であるので、 エルカはその介抱を所望し、そのいっさいの挙動について、みずから保証する。 しかし、ディドリクは完治するやいなや、脱走してしまう。

エルカは、ディートリヒに援助をもとめる。彼自身、重傷にもかかわらず、ディートリヒは、 ディドリクを追跡する。塔のてっぺんに立つ婦人の協力で、ディートリヒはディドリクを発見し、 果し合いにより、これを討つ。 ディートリヒの傷はますます重症となり、以前に協力してくれた婦人のいる城にころがりこんで、助けを請う。 城では快く受けいられるが、その正体がディートリヒであることがあきらかになると、城の伯爵と 騎士たちは不安になる。

なにしろ、偶然にも、この城は、エルメンリクの息子らの一人が死刑に処された場所だったからだ。 騎士らは、ディートリヒがその仇討ちにきたのではないかと早合点して、ディートリヒ殺害を決意する。 しかしアッティラの報復を恐れる伯爵は、それを禁止する。

ディートリヒは、いとこの処刑については不問に付し、ゾーストへ帰参する。 まだ傷がいえぬディートリヒは、ヴァルデマールとの次の戦いには参加できずにいる。 しかしヒルデブラントとロディンガーが、ディートリヒの軍を勝利に導く。 ヒルデブラントは、アッティラを批判するが、ディートリヒに口がすぎると忠告される。

ディートリヒは治癒し、ヴァルデマールとの次の対戦には、参加がかなう。アッティラ軍は、 パルテスキアを包囲。 アッティラとロディンガーがヴァルデマール軍を戦場で相手取るすきに、 自分が孤軍で城を落城させてはどうかとディートリヒは提案する。これはアッティラに却下される。

ディートリヒが包囲陣から撤退すると、ヴァルデマールの軍に遭遇する。 ディートリヒはこの敵軍を破り、ヴァルデマールを討ち取る。 パルテスキアはアッティラの手中に陥落する。ヴァルデマールの兄弟のイロンはアッティラの軍門にくだる。

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23:グランシュポルト(Th. 316-341)

エルメンリク、
ジビッヒ、
ヴィティッヒ
の履歴
ヴァルター の履歴

ィートリヒも、アッティラの宮廷の食客として住んでいるが、 その兄弟ディーターも、すでに20年前からここに住み、アッティラの息子エルプとオルトウィンの乳兄弟 として育っている。

ディートリヒは、領国を併呑したエルメンリクの非をエルカ王妃に訴える。 王妃は、ヴァルデマールの息子ディドリクを始末(殺害)してもらった件で借りがあるので、 ディートリヒの領国奪回の協力をする。 王妃は、ディートリヒの助太刀に、二人の息子エルプとオルトウィンを貸し出し、 また、ロディンガーを派遣するようアッティラを説得する。

その後、ゾーストの都市は、総がかりで戦争の準備にとりかかる。 エルカ王妃はエルプ王子、オルトウィン王子、[里子の]ディーターの身じたくをととのえる。 ディートリヒはエルメンリクに使者をおくり、グランシュポルトでの決戦を提案する。 ディートリヒ軍は、勢力を三分し、ロディンガー軍、ヌドゥンク公爵(エルプ、オルトウィン およびディーターの後見人)のひきいる軍、ディートリヒみずから率先する軍に分かれる。

ディートリヒの伝言を受けるや、エルメンリクは、兵を呼び集める。 エルメンリクは、ジビッヒ、レイナルト、そしてヴィティッヒをそれぞれ将とした、 三つの軍を送り込む。

方の軍隊は、川を境にしてグランシュポルトで衝突する。 夜となり、ヒルデブラントは敵軍を偵察。目的を同じくした[敵の]レイナルトと、川の真中で鉢合わせとなる。 二人はいとも紳士的にふるまい、お互いの軍令を[つつみかかさず]情報交換するが、 そのすきにジビッヒの騎士は接近してヒルデブラントを殺そうとたくらむ。 ヒルデブラントは、5人を斬り、残りは退散する。ヒルデブラントとレイナルトは、ここで袂を分かちて別れる。 自軍の野営ちかくで、レイナルトはさらに何人かの騎士に会うが、夜更けに ヒルデブラントをの寝首を欠くなど、不名誉なことはするなと命じる。 討つならば、曙光が射してからにしたまえ、むろん、相手も防衛はするだろうがな、と。

翌朝、双方の軍は、隊形を敷きはじめる。ディートリヒ軍はジビッヒ軍、レイナルト軍はロディンガー軍、 ヴィティッヒ軍はヌドゥンク軍と対峙する。

そして会戦の火蓋は切られる。最初の主たる出来事は、ヴィルデベルとヴァルターの一騎討ちだ。 二者の力は拮抗し、ともに相討ちして果てる。 ジビッヒの兵は、これをみると度を失い、退散する。ディートリヒはすかさず追い討ちをかける。

その間、エルプ、オルトウィン、ディーターなどをふくむヌドゥンク軍は、ヴィティッヒに よって壊滅する。まず、ヌドゥンクの大将首が、ヴィティッヒに討ち取られる。 オルトウィンは、果敢にも雪辱をはらそうと、[もうひとりの]後見人ヘルフリッヒと二人がかりで、 ヴィティッヒ軍の旗手ルンガと対戦するが、二人とも倒されてしまう。 ディーターはルンガを討ち、その復讐をはたす。 しかし、その間、エルプもヴィティッヒに討たれてしまう。

そしてヴィティッヒとディーターの対決となる。 ヴィティッヒは、攻撃を差し控え、[以前つかえた主君である]ディートリヒを 慮(おもんばか)るこの私に、どうやって[その実弟]ディーターどのを討てましょうや、 と相手方に呼びかける。 しかし、ディーターは、敵前逃亡することを、決然と拒ばみ、正々堂々と討ち取られる。

その間、ロディンガー軍はレイナルト軍と衝突。 レイナルトがロディンガーの旗手ヴォルフハルトを討つと、 ロディンガーはお返しに、レイナルトの旗手を倒す。 その後、レイナルトは、ジビッヒが逃亡してしまっていることをさとり、 みずからも軍を退く。

そしてディーターの死を伝える伝令が、ディートリヒのもとに到着する。 ディートリヒは直ちに戦いを中止し、ヴィティッヒの追討に向かう。 怒りを滾らせたディートリヒは、その口から烈火の炎を吹く。 これを見て、ヴィティッヒはあわてて湖へ逃れる。ディートリヒは追討をあきらめる。

うしてディートリヒは戦勝を得る。 しかし、馬にまたがって戦場をよぎりながら、多くの同輩や親族の屍を目の当たりにすると、 ローマに進軍する気も、アッティラのもとに凱旋して戻る気もさらさら失せてしまう。 ロディンガーは、ディートリヒが率いるならばどこでも、諸将たちはついてゆくだろう、 もし、ディートリヒが退陣したいとあらば、それがアッティラの怒りを買っても、 諸将らも口ぞえをしてくれるだろう、と意見する。ディートリヒは、ゾーストへ帰還することにする。

到着するや、ディートリヒは、アッティラとの面会を拒み、厨房小屋に閉じこもってしまう。 アッティラは、ディートリヒに正気の振舞いをとりもどさせたくとも、それができないでいる。 しかしやっとのことで、エルカ王妃がディートリヒを説き伏せる。

2年後、エルカ王妃は死を迎える。末期のベッドで、王妃はアッティラが、滞ることなく 再婚し、すぐにも世継ぎを、おもうけなさるように、とアッティラに進言する。 ただし、ニーベルング族の女性は、けっして妃としてお迎えなさりませんようにと、 ひとこと忠告する。 そしてエルカは、親族のへラットをディートリヒに娶(めあ)わせる。

ディートリヒ、ヒルデブラント、ロディンガー、アッティラ を追う
エルメンリクとジビッヒ を追う
ヴィティッヒ を追う
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