『シドレクスサガ』、第2部の要約

このページでは、『シドレクスサガ』第80-133章の徹底的な要約(サマリー)をおこないます。

  1. ヴィティッヒ
  2. ファゾルト、龍、ジントラム
  3. ヴィティッヒとハイメその1
  4. デーン人デトレフ
  5. アメルンク、ヴィルデベル、ヘルブラント

この要約のみにおいて、このサガを学術的に分析しようとする試みについては、いっさいの 責任を負いかねます。

参照の便宜上、このサガをいくつかの部に分割してあります。これは、一部をのぞき、ほぼ Von der Hagen の分割方式にしたがいました。 さらには《Membrame 写本》の章番号が附記されてあります。

このサガの一貫性(矛盾性)の議論については、 Boer (第2のhref) をご覧ください。


7: ヴィティッヒ (Th. 80-95)

ィーラントの息子ヴィティッヒに、鍛冶師を継ぐつもりはない。 勇士となることを夢み、いつか、かの偉大なるディートリヒ・フォン・ベルンと剣を交えることを望んでいる。 ヴィーラントは、息子がディートリヒとの勝負に旅立つことに、しぶしぶ承諾し、これにミームンクを与えて送り出す。

ベルンへゆく途上で、ヴィティッヒはヒルデブラント、ハイメ、そしてホルンボーゲ (あらたにディートリヒに仕えることになった勇士)に出会う。 ヴィティッヒは、その胸のうちの志を熱心に、かれらに説いて聞かせる。 ヒルデブランドも、ディートリヒは過去の武勲を鼻にかけ、近頃どうも天狗になっている ようだから、少しお灸をすえてやるのもよい、などと同調する。 しかしヒルデブラントは、自分がディートリヒと、どういう間柄なのかを、あかさずにいる。 そして一同はここに、(ヒルデブラントとハイメは偽名をかたって)義兄弟の契りを誓い合う。

そしてヒルデブラントは、小さな城塞に巣食う盗賊団にヴィティッヒを向かわせ、その腕前を試すことにする。 ミームンクをふるうヴィティッヒは、すさまじい戦いぶりをみせ、盗賊団はあわや皆殺しにされてしまう。 ミームンクの実戦ぶりを目の当たりにして、ヒルデブラントは、ひたと考え込む。

その夜、ヒルデブラントはひそかに剣をすりかえる。ミームンクを自分のものにし、 ヴィティッヒには、こっそり自分の剣を渡したのである。 ディートリヒの傲慢の鼻をへし折るのはけっこうだが、命を落としてまでは欲しくない。

翌日、ヴィティッヒは、英雄の資質を、再度におよんで証明することとなる。盗賊団の残党が、 橋を切り落とし、身の安全な川の向こう岸から、勇士らを嘲弄したのである。 ヴィティッヒは、馬を大きく一っ飛びさせて川幅を越え、すさまじい殺戮のかぎりをつくす。 ヒルデブラントとホルンボーゲは、ひきつづいて馬を跳躍させるが、とどかずに川に転落し、 ヴィティッヒを援護するため泳いで陸にたどりつく。ハイメはヴィティッヒのやったとおりの 跳躍を真似してみせるが、誓約をたがえて、手助けをさしひかえる。 この戦闘の後、ヒルデブラントは、自分の本名と、ディートリヒとの関係を、ヴィティッヒに正直に明かす。

ルンに着くやすかさず、ヴィティッヒはディートリヒに試合を申し込む。 しかしディートリヒは、誰がそんな小僧と戦うものかと、馬鹿にしたようにこれを拒絶する。 ヒルデブラントは、ディートリヒに試合を引き受けるように説得するものの、ヴィティッヒに一目 おくように(礼節でもって迎えるように)説得することには失敗する。 準備中も、ディートリヒは、はなはだ礼を欠く振舞いを披露する。

かくして試合は開始される。二人の勇士は互角にわたりあう。しかし、ヴィティッヒがディートリヒに 強力な一太刀を浴びせかけると、剣は折れてしまう。ヒルデブラントは、ヴィティッヒの助命を嘆願するが、 ディートリヒは聞き入れない。よってヒルデブラントは、ミームンクを、正当な持ち主に返還することにする。

そうなれば今度は、ヴィティッヒが優位である。ディートリヒは、ヒルデブラントに仲裁を依頼するが、 ヒルデブラントに断られる。ディートマル王は、息子のために身代金を差し出そうとするが、これも ヴィティッヒが拒否する。 しばし戦った後、ヒルデブラントは、ヴィティッヒにディートリヒの助命を請う。 ヴィティッヒは、ディートリヒのためにではなく、その友情にいつわりないことをその行動で しめしたヒルデブラントの顔を立てて、これに同意する。

その後、ヒルデブラントは、なんとかディートリヒとヴィティッヒのあいだに友情を芽生えさせる。 しかし、このことは、ディートリヒのかつての莫逆の友であったハイメの妬みを買うこととなる。

ディートリヒ、ディートマル、ヒルデブラント、ハイメ の履歴
ハイメとヴィティッヒ を追う
ヒルデブラントとホルンボーゲ を追う
王ディートマル を追う
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8: 勇士と龍 (Th. 96-107)

うなると、ヴィティッヒとの試合で損なわれた名誉を挽回する、 あらたな冒険がディートリヒには必要となってくる。彼は単身、東方の旅に出る。

夜の森で、ディートリヒは、エッケと名乗る騎士に遭遇し、挑戦をつきつけられる。 ディートリヒは、暗がりで視覚がきかないことを理由に辞退する。 エッケは彼を嘲り、自分の配偶者である「九人の娘をもつ女王」の名にかけて、再度、挑戦を言い渡す。 ディートリヒはこれも辞退。しかし、三度エッケが挑戦すると、ディートリヒはこの野試合を余儀なくされる。

ディートリヒは、苦戦を強いられ、エッケに地べたにたたきつけられる。両者は剣を捨てて、 素手の格闘がはじまる。ディートリヒがあやうくエッケに殺されかけたとき、ディートリヒの馬ファルケが 戦いに乱入し、エッケの背骨を砕く。ディートリヒは、エッケの装身具(とくにその剣エッキザクス Eckisax は重宝) を手に入れる。 これ以降、ディートリヒは、ナーゲルリンクではなくエッキザクスをふるうようになる。

エッケの甲冑と剣を装備したディートリヒは、馬に乗って女王とその九人の娘たちが暮らすドレカンフェルズを おとずれる。これがエッケでないと知れるや、ディートリヒは追われる身となる。そして、エッケの兄弟ファゾルト に遭遇し、エッケを殺害しただろうと嫌疑をかけられる。

その辱をそそぐため、ディートリヒはファゾルトと戦わざるをえない。ファゾルトの剣撃に、ディートリヒは のされてしまう。しかし一撃で相手を倒すことに慣れているファゾルトは、馬を引いて退散。 しかし、ディートリヒは、起き上がり、馬で追う。戦いは再開し、今度は、ディートリヒが勝利する。 ディートリヒはファゾルトに永遠の友情を約し、新たな勇士を部下に得る。

ディートリヒとファゾルトは、オスニング山脈に入り、たまたま近くにいた象を一頭しとめる。 その後、二人は龍が一人の男をくわえてゆくのを目撃。助けを求めて叫ぶ男に、もちろん 勇士らは応じる。それぞれの持つ剣の長所について、しばらく話し合った後、二人は龍を攻撃。 捕まった男は、大声で助言する。こうした助力のかいもあって、ディートリヒとファゾルトは龍を倒し、 男を救出するが、それが、じつはヒルデブラントの甥ジントラムとわかる。かくしてディートリヒは 新たな勇士を、傘下に入れる。

Ritter は、この戦いがあったことを立証する、ある興味深い証拠を見つけています。
この証拠についてのページをロード する。

最後に、勇士らは、ジントラムの武具を探しまわすが、それはアルディンフェルズに見つかる。 その国の伯爵(jarl)は、戦利品の譲渡を拒むが、この来訪者がほかならぬディートリヒ・フォン・ベルン だと聞いて、考えを改める。ディートリヒ、ファゾルトとジントラムはそしてベルンへ帰ってゆく。

ファゾルトとジントラム を追う
九人娘の女王を追う
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9: ヴィティッヒとハイメ(その1) (Th. 108-110)

ヴィティッヒとハイメ の履歴

ベルンで、ディートリヒは古い剣ナーゲルリンクをハイメに下賜する。 ヴィティッヒはこれをやっかみ、盗賊団との戦いでハイメが援護をさしひかえたことをディートリヒに告げ口する。( 第7部を参照)。 ディートリヒは立腹し、ハイメの鬱憤も、ますますつのる。ついにハイメはベルンを去り、 盗賊団の一員に加わって、何人かの商人を殺める。

ヴィティッヒを追う
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10:デーン人デトレフ(Th. 111-129)

ヴァルターの履歴
エルメンリク の履歴

私見では、この部分は、宮廷のつまらない慣習などを語るために多分に加筆されたものとおもいます。

ビテロルフの息子デトレフは性格怠慢で、入浴も戦いも、すすんではやらない。 つっぱりの腕白小僧である。
しかし父ビテロルフと旅する際、ハイメの盗賊団と戦い、デトレフはみごとにその汚名をそそぐ。 父子は力を合わせ、ハイメの盗賊たちを惨殺する。 逃れたハイメは、恐怖のあまり、水車の音さえデトレフが追ってきた 足音と勘違いするありさまである。ハイメはすごすごとディートリヒのもとに帰る。

自然ななりゆきではあるが、デトレフは、ベルンにゆき、ディートリヒに仕えようと決める。 デトレフはまず、ギリシア人ジグルトに会って剣試合に挑み、その娘とその勝利の石(ジーゲルシュタイン) と関わり合いをもつようになる。

その後、デトレフはディートリヒを探しあて、はじめは身分の低い従者から王に仕える。 ディートリヒとその家臣は、ディートリヒの伯父にあたるエルメンリクの賓客として、 宴会に出席する。 デトレフもまた、ずいぶんと熱の入れようで独自の饗宴を[つまり置き去り組み用の宴会を] もうけるのだが、そのためにハイメや、ヴィティッヒや、ついにはディートリヒまでの 武具や馬を質草にして資金を調達するものだから、あとでこれを知ったディートリヒは愉快ではない。 ところがこのデトレフの負債を、エルメンリクがひきうけて清算し、さらにはデトレフを 宴会に招待してくれるのである。

エルメンリクの甥ヴァルターは、デトレフのテーブルマナーについて、なじるような 意見をする。もちろんこれは諍(いさか)いとなる。デトレフは石投げと槍投げの両方の競技で ヴァルターを破り、エルメンリクは、ヴァルターの命乞いの身代金を払う羽目となる。 かくしてデトレフは一人前の勇士に昇格する。

デトレフを追う
ハイメを追う
エルメンリクを追う
ヴァルターを追う
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11:さらに何人かの勇士(Th. 130-133)

ディートマル王の履歴

ここでホルンボーゲの子アメルンク、ヴィルデベル、遍歴者ヘルブラントら、 勇士が、ディートリヒの宮廷に現れる。ディートマル王は死に、ディートリヒがベルンの王に即位する。

アメルンクとヘルブラントを追う
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